ケチャこKechaco

チリンの鈴のケチャこKechacoのレビュー・感想・評価

チリンの鈴(1978年製作の映画)
4.1

『雪は何日も何日も果てしなく降り止まず、このまきばでのできごとを覆い隠しました。激しい吹雪の夜、風に混じって微かに鈴の音が聞こえてくるそうです。でもチリンの姿を見たものは誰もいませんでした。』

お母さんと幸せな日々を生きていた幼かったチリン。そんな彼が後戻りのできない悲劇に見舞われ、唯一親代わりだった存在を殺し、怪物と成り果て真の孤独を知る。
情感に溢れた自然描写はチリンの成長と破滅に寄り添っていて、悲劇的な結末をより印象深くしている。
ディズニーアニメのバンビ(バンビが赤ちゃんだった頃)の作画が段々なんか可愛くなくなっていく感じ。
『おまえみたいに強くなりたい』と溺れかけてまで追いかけてきたチリンを一蹴していたウオーがなぜ彼を弟子にしたのかというと、自分の失敗で幼い命を奪ってしまい慟哭するチリンに、弱い者だからこそ持っている愛や慈しみを見出したからかなぁと思っている。
最後にウオーを殺したことで彼はその持っていたものを失ってしまった。

あと神谷明さんの青年チリンがめっちゃいい声。時間も50分ほどで見やすい!!情感たっぷりのきれいな鬱を摂取したい忙しい人におすすめの映画。
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