ori

ロスト・チルドレンのoriのレビュー・感想・評価

ロスト・チルドレン(1995年製作の映画)
4.0
すごい。悪夢を見ているかのような底の深い作品でした。
悪夢の中を覗いているような不思議な感覚。

ここはいったいどこなのでしょう。
不思議で不気味なのだけれど、見てしまった人を虜にしてしまうダークファンタジー。

私にとってジャン=ピエール・ジュネはこれで3作目なのですが、
彼の世界に導かれるがままに連れて行かれ、抜け出せなくなってしまったような感覚なんです。
それこそほんとうに悪夢の中にいるかのよう。

それだけではなくって、私が今まで見たジュネ作品は、アメリとスピヴェットだったので、ダークなものは初めて。
物語はダークファンタジーなのですが、彼の個性的すぎるくらい個性的な表現や色彩で、
“ダークポップファンタジー”というように感じました。

サーカスで怪力自慢だったワンは、とても純粋な心の持ち主。
ある日謎の“一つ目教団”に弟が連れさらわれ、救出に向かった先で、幼い少女・ミエットに出会います。

ミエットの幼いながらに強く凛々しい視線がとっても印象的です。
まだ若く幼いのに、とても魅せてくれる魅力的な少女でした。

先に悪夢と書きましたが、まさにその通りなのでは。
それはさらわれていった子どもたちにとっても、
夢を見ることができず老いてゆく男にとっても、
そしてその世界を見ている私たちにとっても。

もちろんこの悪夢は褒め言葉です。

決してホラーではないし、そんな怖さはございません。
けれども、出だしのサンタさんや、一つ目教団、いつも2人くっついてる姉妹、クローン、脳の叔父などなど、
子どもの頃見ていたらトラウマになっていたかもしれません。笑
ori

ori