ナガノヤスユ記

ハリーの災難のナガノヤスユ記のレビュー・感想・評価

ハリーの災難(1955年製作の映画)
3.5
多分これは学生以来ぶりくらいに見た。ヒッチの50年代作の中でも、とりわけナンセンスなユーモアが前面に出た異色作。埋葬からの復活、は宗教的なモチーフのおちょくりでもあり、死んだ人間の影響をどうしても逃れえないキャラクターたちの顛末は、そういう意味では実にヒッチコックらしい主題。全編倒錯的な魅力はあるものの、このへんはまだ演出としてやっているのがわかるので、後期作品群のようなドライブ感は控え目。予算の問題なのか、どうしてもシチュエーションコメディ的な舞台劇感がぬぐえず、活劇としての物足りなさは否めない。記憶が正しければ、『めまい』や『北北西に進路をとれ』などの文句なしの傑作でも組んでいるHerbert Colemanは本作からプロデューサークレジットに昇格。