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アンナのakrutmのレビュー・感想・評価

アンナ(1966年製作の映画)
3.8
広告会社に勤める男性セルジュが、写真撮影中に偶然写り込んだ若い女性アンナに一目惚れをして、パリの街中を探し回るというプロットを軸に、アンナとセルジュをポップなミュージカル風に描く、ピエール・コラルニック監督のTV映画。

アンナ・カリーナには「眼鏡を外すと、あら美人」的な落差がない(=どちらも素敵な)のでストーリーとしては破綻しているが、そんなことはどうでもよく、とにかくアンナ・カリーナを愛でるための映画、というよりは彼女のイメージビデオである。彼女の豊かで魅力的なな表情はもとより、歌やダンス、そしてカラフルなファッションを堪能することができる。ジャケ写の黒メガネに透明レインコード姿の彼女もかわいい。アンナ・カリーナにとっては、女優人生が最高潮に達している頃であるとともに、私生活ではゴダールと別れたばかりという、人生の分岐点となる時期であり、そういう意味では、本映画が彼女の新しい方向性をある程度決定づけたと言ってもよいであろう。実際、楽曲を担当したセルジュ・ゲンズブールと本作で出会い、音楽活動も行うようになる。本作で歌った曲 "Sous le soleil exactement" もヒットしたようである。

アンナを探し回る男性セルジュを演じるのは、『女は女である』でアンナ・カリーナと共演したジャン=クロード・ブリアリ。そして、彼の友人役として、どこかすっとぼけた表情が印象的な、セルジュ・ゲンズブールが出演している。また、ワンシーンであるが、叔母達がセルジュの結婚相手に目論む女性の役として、マリアンヌ・フェイスフルが歌声を披露している。
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