あの娘のとなり

アンナのあの娘のとなりのレビュー・感想・評価

アンナ(1966年製作の映画)
4.5
アンナ・カリーナの素晴らしいところは、
どんな映画においても
「アンナ・カリーナ演じる○○」ではなく
「○○役を演じているアンナ・カリーナである」という点。

レオやフェイ・ウォンやマッティ・ペロンパーやパトリシア・ゴッジなんかもそうだけど、アンナ・カリーナは本当にどの映画でもどこを切っても彼女のまま。

一枚の広告写真に写り込んだ女性に一目惚れし、探し出そうとする広告会社の若き社長セルジュと、その写真の女性であり彼の会社で働いているアンナの惹かれ合いすれ違う、灯台下暗しな総天然色フレンチポップ・ミュージカル。

「普段は冴えない眼鏡女の子、その素顔は超絶美人」というかなり古典的な少女漫画のようなプロットながらもこの映画は、
ヌーヴェル・ヴァーグのミューズへの惜しみない愛と讃美があり、
60年代パリの素晴らしいロケーション撮影に、
ごはんですよ眼鏡をかけたアンナのその下にあるアンニュイな眼差し、頬を伝う涙や、一目惚れした女性を探し街を徘徊するセルジュの苦悩の表情等を捉えるクローズアップの多用で彼らの「孤独」を強調、共有させる、お洒落なだけでおわらせない絶妙にセンチな感覚があり、
そこに全編にわたり流れ唄われるセルジュ・ゲンズブールの天才的なフレンチポップの数々で、
この映画のワンシーン、ワンシーンを忘れ難い大事なものにしてくれている。

アンナ・カリーナは無敵。