下吉町「セントラル映劇」
繁華街の外れの雑居ビルの地下にあったいわゆる「ニ番館」…
当時350円で公開落ちの映画を観せるこういう映画館はレンタルビデオ前夜の昭和の映画少年にとっては大事な場所だったんだ…
予備校をサボったおれは…暗闇でタバコを吸いながら前の座席に脚を投げ出してスクリーンを見つめる…
客席はがらがら…だが後ろの通路と便所はホモのオッサンたちでごった返している。時折足元をびっくりするほど大きなどぶねずみが走り抜ける…
たかだか40年ほど前の話だぜ…
信じられる?
スクリーンでは極端に寄った内田裕也の横顔が薄笑いを浮かべていた…
内田裕也さんが亡くなられたというニュースを今朝のテレビで見たよ…
若い人にとっては「なーに?あの変なじじい?」ってなもんだろう。
おれにしたってミュージシャンと言われても代表曲ってジョニーBグッド?人の歌じゃん…「シェキナベイビー」?
亡くなる前もっとも有名な彼の肩書は「あの樹木希林が愛した男」だった…
でもおれにとって内田裕也は昭和の映画俳優だった…
決して上手いとは思えない台詞棒読みみたいな演技なのにその存在感は本職の俳優を凌駕した…
「戦場のメリークリスマス」やら「ブラックレイン」の記憶に残る登場がそれを証明しているし、破滅していく警察官を演じたこの「十階のモスキート」や昏睡レイプ魔の「水のないプール」は強烈におれの中に残っている。
プラスチックみたいな声でしゃべる内田裕也と中村れい子の裸体はおれの青春でした…
樹木希林のあとを半年後に追う…か…
内田裕也さんらしいといえばらしい…
ご冥福をお祈りします…
ロックンロール!