のら

ももドラ m o m o + d r aののらのレビュー・感想・評価

ももドラ m o m o + d r a(2011年製作の映画)
2.0
この手のファン向けの映画に演技力や話の面白さを要求するのも酷な話ではある。しかしももクロの魅力を引き出せているのか?という点で見ると微妙でアイドル映画としてあまり機能していないのが気になる。

5話からなるオムニバス構成の映画で、基本的に全部良い出来では無いが3話目のコトダマというホラーテイストの作品は唯一見応えある作りになっている。アイドルとホラーの相性が良いというのがよく分かる。またこの話に限らず全体を通して有安杏果が独特の存在感を出していて、いるシーンといないシーンで雰囲気が全く変わるのは良い発見だった。しかし良かったのはそこと高城れに位で後は微妙な出来である。

例えば4話の色恋は高城れに演じる美術部の女の子が画材屋で良く見かける男の子に恋をし、その子と同じ展覧会に絵を応募するという話だ。一見よくある片思い系の話として見れる。しかしラストシーンが狂気じみていて、高城れには落選し一方の片思い相手の男の子の方は入選する。そして高城れにはその入選した絵を見に行くという展開だが、その入選した絵が高城れにの肖像画という展開になっている。しかしこの話の中で高城れにとその男の子の接点は一言話した程度しか描かれていない。それはアイドル映画としては正解なのかもしれない。しかしその結果、接点の無い相手の精巧な肖像画を書くというラストシーンの為にサイコホラー的な印象を与える話に変質してしまっている。それを良い話として提示されても飲み込めない。あと肖像画の背景を塗っているだけなのにモデルの百田夏菜子に笑顔を強要するという意図が謎なシーンあり困惑させられる。

もうひとつは5話目で。百田夏菜子以外のメンバーが体育館に集まり、夏菜子の様子がおかしいと相談する深刻な展開がある。しかし何故か映画のロケを聞きつけたファンが外からメンバーの名前を叫んでいる音がマイクに拾われてしまい、シリアスな場面が台無しになっている。

さらに疑問なのはももクロ以外のメンバーの存在を極力排除しようとした作りのせいで2話目の「姉カレ」のように姉と妹という家族の話にも関わらず、他者の存在や関係性が希薄すぎ、結果何が言いたいのか良くわからない作りになっている点が上げられる。またラストで佐々木彩夏がマクドナルドのコーヒーを飲もうとするシーンが完全に飲んだ振りで、なぜOKを出したのか謎なレベルの飲んだふりだ。

まとめるとももクロの魅力が引き出せているのか?という点では引き出せてない。1話に登場させるメンバーは1人にして6話目で全員集合と言った構成にし、メンバーひとりひとりに焦点を当てたほうが良かったはずだ。また制服が可愛くないし。アイドルのその瞬間を切り取れてない。

本作が唯一アイドル映画として輝くのはエンディングで流れるNGシーンだけという惨状になっている。
のら

のら