藤純子主演の東映名物シリーズ第三弾。山下耕作監督らしく画面いっぱいに「花」を挿入した演出が特に素晴らしい。内容そのものは、結構社会派だったりする。
やくざから足を洗った菅原文太と女芸者、藤純子との「腐れ縁」の描写が濃厚なロマネスクを感じさせる。映像様式美としても一級品の完成度を誇る。
この鬱陶しい程の画面のネットリ感は東映やくざ映画ならではのもの。義理と人情の狭間で揺れるナマの「人間」が描かれている点が何より特筆。
最後の最後、やくざと化した菅原文太の殴り込みのシークエンスでとことん泣かせる。男と女の情念が迸る珠玉の名編である。