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男はつらいよ 望郷篇のQTakaのレビュー・感想・評価

男はつらいよ 望郷篇(1970年製作の映画)
4.0
でっかいスクリーンで”寅さん”を見る。
昔ながらの”映画館”で。
札幌プラザ2・5で。
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寅さんシリーズが、大一作から50周年ということで、4Kデジタルリマスターされた。
これは見たいだろう。
古い映画は、脳内変換が高度のレベルで行われており、ハッキリクッキリとした映像が頭に浮かぶものだ。
でも、実際のフィルムは、現状で良好な状態であるはずもない。
あるいは、過去にデジタル化されたものも、綺麗な映像である可能性も低い。
記憶の中のスクリーンは、そんなもんじゃないんだ。
だから、デジタルリマスターが待ち遠しい。
今回は、この時世に合わせて”4K”でリマスターされた。
ならば、大きなスクリーンで見たくなるだろう。
ということで、#札幌プラザ2・5 の2Fで見られる機会が有ったので足を運んだ。
札幌プラザ2・5 2F
「13.4m×5.7mの大スクリーンに376席」
昔ながらの映画館だ。
最高の画質の映像と、懐かしいスタイルのそのままの映画館。
舞台は揃った!
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と言いながら、”寅さん”を映画館で見た記憶はない。
当たり前のように上映されていた映画なのに、
あのでっかい看板が映画館の壁に掲げられていたのに。
実際に映画館で見たことは多分無い。
だから、正確にいうと、初”寅さん”なのだ。
ストーリー展開は知っている。
いつもの展開だ。
はじめに夢を見る。
その夢から一悶着。
そして、いつもの寅さんが故郷へ帰ってきて…
マドンナが出てきて…
そんな予備知識はどうてもいい。
とにかく、スクリーンに集中。
寅さんが登場。
そしてそして、あのテーマ曲。
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今回は、第五作「望郷篇」
1970年(昭和45年)公開で、マドンナ役は長山藍子さん。
前半の舞台で、寅さんは北海道へやってくる。
SLが画面を飾る。D5127とC622だ。
国鉄がまだ元気だった頃だね。
蒸気機関車の缶焚きは、”重労働”の象徴のようなもの。
この前半は、メインストーリーの恋物語とは全く別なのだが…
この寅さんが走り回る前半の話が後からきちんと回収されるんですね。
後半は、いよいよマドンナ登場で、いつもの恋愛ドラマっぽくなる。
結局は失恋ドラマなんですけどね。
でも、これは、昭和の大恋愛ドラマですよ。
みんなが寅さんを応援した。
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毎年のように製作された寅さんシリーズ。
今、こうして見ると、それは、その時代を正確に捉えていたことがわかる。
それは、昭和の高度経済成長が始まった頃の庶民の生活や、街の風景、子どもの姿。
だれもが一生懸命、地道に働いて、未来を見据えて生活していた。
そういう姿や街並みが記録されている。
映画の記録性がここにある。
それは、我々にそんな時代が有った事をまざまざと思い起こさせる。
寅さんシリーズは、おそらく、これからも見続けられる所以だろう。
人々が生きた証とこうして対面できることに感謝したいね。
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