mh

戦う翼のmhのレビュー・感想・評価

戦う翼(1962年製作の映画)
5.0
戦争ものの中に爆撃隊ものというサブジャンルがある。
その中でもイギリスに駐屯していたアメリカ陸軍第8航空軍とB17爆撃機をモチーフにした映画は名作揃い。ざっと「戦略爆撃指令」「頭上の敵機」「メンフィスベル」とそうそうたるタイトルで、どれも軒並み面白い。
そして、この映画もすごかった。
翌年「大脱走」で大ブレイクするスティーブマックイーンが、ヒール役をつとめている。このキャラ造形が絶妙なさじ加減。
空襲でもまったく動じなかったり、嫌がらせで副機長の恋人を奪おうとしたり、大物っぽく振る舞ってる小物みたいな人物。
終盤、ドイツ内陸部への爆撃が実現する。これは余談だけど、たぶんこのミッションに「メンフィスベル」も参加する。
そんななかのラスト、戦争愛好者(原題の直訳)な彼が取った行動に、戦争が終わって訪れる平和な時代=臆病者が世界を支配する時代=スティーブマックイーンの居場所がない時代がすぐそこにまでやってきていることをかぶせている。スティーブマックイーン自体が戦争そのものという仕掛けで、これはシナリオがめちゃくちゃうまい。
この映画のスティーブマクイーンは主人公ではないんだけど、主人公に据えた映画が「ハートロッカー」という見方も可能。
ときおりミニチュアが混ざるんだけど、基本は実写。大型爆撃機が編隊を組んで飛んでる様子が美しい。機内の様子やクルーたちの活躍も面白かった。
基地上空を低空飛行するくだりはすごい迫力だった。第8航空軍が舞台の映画には、胴体着陸のくだりを必ず入れないといけないのか、この映画にもそれがある。
先日、友だちに勧められるまでまったく知らなかったタイトルだったのに、あまりにもよかったのでかなりのショックを受けている。
「似ている作品」とか、「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」とかって、精度が低いようなので気をつけたい。
爆撃機ものの名作でした。超おすすめ!
mh

mh