久しぶりに訳が分からなかった。
全部で五幕構成になっていて、山や森などの自然を背景に、神と思われる二人の対話が描かれる。一幕ごとに違う神に変わるし、会話の内容を理解するのも難しいしでハードな映画体験だった。
それもそのはずで、イタリアの作家チェーザレ・パヴェーゼの「レウコとの対話」という対話編の中の五つが元になっていて、神話に登場する神や、歴史上の人物の対話が描かれている。ざっくりアウトラインをまとめておく。
一幕はギリシャ神話の神クラトスと女神ビアーの兄妹が人間の哀れさについて語る。
二幕では、ゼウスの子ディオニュソスとゼウスの姉デメテルが人間の死について語る。
三幕では木の精霊ハマドリュアスと半人半獣の精霊サテュロスが、ここでも人間の死について語る。
四幕では記憶の女神ムネモシュネと古代ギリシャの詩人ヘシオドスが人間の記憶について語る。
五幕では人間と思われる二人が神話について話す。
なかなか難解な内容で原作を読んでみたくなった。そして、何故これを映像化しようとしたのか、動機が気になる。しかも「雲から抵抗へ」の続編的扱いで、そちらも同じ原作の他の対話編を映像化しているらしい。いつかチャレンジしたい。