びこえもん

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君にのびこえもんのレビュー・感想・評価

3.8
7~8年前にTVシリーズ全話と併せて1度観ましたが、シンエヴァ鑑賞に先立って復習しておきました。まぁQまでを観る限りこの通りに行くともまるで分からないですが……

後年何かと語り草になる映画作品は往々にして常識的な視点からするとちょっとイカれた鬼才クリエイターが生み出していることが多いものですが、これに関しては良い意味でイカれた人というよりもう「精神的に大丈夫じゃない人が創っている作品」に極めて近いように思います。

知り合いでもないので勝手な想像ですが、思うに庵野監督がエヴァを通して元々やりたいことは「爆発、アクション、かっこいい戦闘の作画」であって、それらを網羅するようにシナリオを組んで、後はよく分からないキーワードを碌に説明もなく散りばめておけば意味深感が出て作品として形になるだろう……みたいなものではないかと感じます。結果社会現象と言われるほどまでに爆当たりして、ヒロインの人気にも火が付き、所謂オタクカルチャーの重要な一角を占めるようになって、そこに創作に対する生みの苦しみとか個人的な悩みとかも一切合切ぶつかって爆発した結果、二十うん話かけて積み上げてきた『新世紀エヴァンゲリオン』を全部めちゃめちゃにぶっ壊し、何ならアニメ映画という体裁や常識すらぶっ壊すことで、苦労して創ってきたモノが最後に瓦礫の山に帰すある種のカタルシス的終局を迎えたのではないか……なんかそういう風にも観えます。新劇場版を改めて創っているのはおそらくここで一度瓦礫の山にしたエヴァンゲリオンを再構築して、新しいエンディングへと着地させるためのセルフ尻拭いなのかも知れません。

とか何とか言ってまだシンエヴァ観てませんから、これ次第で印象も変わるかもしれませんが……さてどんな結末が待っていることやら、これから映画館に観に行ってきます。