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大いなる幻影の346のレビュー・感想・評価

大いなる幻影(1937年製作の映画)
3.6
なんだろう。あんまり乗れなかったな。優雅すぎて。

最近、「サウルの息子」を観たからかもしれないけど、その差というか、この映画の収容所はすごく暮らしやすそうで、みんな和気あいあいとしてたから、なんで脱走したいのか分からなくて。そこでつまづいてしまったので、主人公たちと感情を共有できなくて、観るのが少し辛かったかな。

もちろん、自由を追い求めるという主張としての脱走なのはわかるし、その美意識はフランス人らしくて、かっこいいとは思うのだけど。どうしても戦争という敵がみえないぶん、緊張感が薄れてしまうので、どうかな?とは思うけど、


…でも、よく考えたらこれが公開されたころは、観客も戦争を直に体験している人ばかりだろうから、そんなの描かれていなくても、体験から補完するわけだから問題ないのかも。それに、新しい戦争の影が忍び寄っていた頃でもあるから、より敏感にもなっていただろうし。

だとしたら、これはやはり映画なのだな。フィクションという魔法で生みだされた「大いなる幻影」
愛を引き裂き、自由を奪い、友や家族を殺した、あの恐ろしい戦争のさなかに、敵味方を越えた友情があり、国境を越えた愛情があり、どんな状況も楽しもうとするユーモアと勇気があり、理解し合える仲間がいつも側にいることを信じさせてくれる映画。

そんな人の願望が詰まっているから名作と呼ばれる一本なのかもしれない。と、書いてる途中で評価を変えました。
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