映画を観て、久々に狂おしい気持ちを思い出した。やはり、こんな気持ちになる作品は他にない。描かれているのは自分がどんなに叶えたいと祈り尽くしても、どんなに手に入れたいと願い謀っても、コントロールできないことばかりだから苦しい。
前半と後半の落差が大きくて、この苦しみがリアルに胸に迫ると共に、だからこそ二人の仲睦まじい姿、順風満帆の輝く笑顔、そしてクラブ・シレンシオの涙が、より一層美しく蘇る。
改めて、この世界をこんな形で表現できることに驚愕すると同時に、道半ばで挫折を味わった全ての人達に対するデヴィッド・リンチ監督の優しさと悼みを感じた。