しらす

マルホランド・ドライブのしらすのネタバレレビュー・内容・結末

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

!??なのに、めっちゃおもしろかった。いますぐもう一回観たい。(実際、観終わってすぐ冒頭に戻ってしまった……。)
後半、え?え?どういうこと?すべてはダイアンの復讐劇だったということか?となんとなく思ったけど、それだと辻褄があわない。まずダイアン(おそらくこの作品の主人公は彼女だろう)目線でわたしなりに時系列を整理してみる。☆ネタバレつけてるけどゴリネタバレなので注意、この映画観てない人は、他の人の感想なんか一切見ずに映画を観てください。

1.共に暮らしているダイアンとカミーラ。ふたりは恋人関係にあり、共に女優をめざしているが、カミーラのほうが成功していて、著名な監督(なまえわすれた)と愛人関係にある。ダイアンとカミーラの関係は不安定。
2.カミーラとダイアンがパーティに向かう。そこで例の監督や他の女とイチャつき、あろうことか監督との結婚を公表したカミーラを見て、嫉妬に燃えるダイアン。
3.カミーラへの嫉妬はいつしか憎しみへと変わり、ダイアンは革ジャン男にカミーラの殺害か暴行か何か(ここがかなり謎。たぶんあえて)を依頼する。青い鍵が登場。(その後、男はカミーラに対し計画を実行? 映画の冒頭。)
4.(映画だと、ダイアンがダイアンとして登場する最初のシーン。)部屋を交換した女が訪ねてくる。荷物を受け渡す。探偵が二人訪れたと聞かされる*。「カミーラ、帰ってきたのね」……は、おそらく彼女の夢。カミーラは死んだのか、はたまた逃げたのか。
5.青い箱からでてきた小さいおじさんとおばさんに迫られ錯乱するダイアン。寝室へと駆け込み拳銃自殺。

たぶんダイアンが登場するシーンを整理するとこんな感じで、観てるときは、私があほなので??すぎて、ダイアンがベティとして記憶を失ったカミーラの愛を手に入れたあとで、彼女をひとりにした(復讐劇)?と思ったけど、それだと部屋を交換した彼女がベティ=ダイアンに気づかないのはおかしい。前半部分は薬か何かで錯乱しつつあったダイアンの夢……と考えるのが自然だけれど、それはそれで*部分が??なんだよね。他の人がきたということなのかもしれないけど。そう考えて終わらせてしまうには妙なつながりがある。シュルレアリスティック。思えば革ジャン男のブラックリストや、「夢でここに来た」男も謎のままだ。
いや、「夢でここに来た」男にかんしては、映画全体にたいする示唆か。夢で観たのと同じ景色。見てはいけないもの。パンドラの箱。あの青い箱は、夢と現実をつなぐもの? うーん、うまくつながらない。
This is the girlもなんだったんだ?と思ったけど、これに関してはダイアンの夢だと考えると、その抽象性も納得がいく。あのときの自分の言葉のリフレイン。前途有望な女優の私。彼女を奪った男の不幸。
全体が複雑なだまし絵みたいな映画だ。きれいにつながっているはずの線をつかもうとすればつかもうとするほど見えなくなる。ゆっくりたどっていっても、その線はどこかでほかの線と絡み合って矛盾している。きれいにほどくことができないからこそ、絡みとられて抜け出せなくなる。
普段実際のストーリーを脇において抽象的な言葉にはしりがちなので、これに関しては謎がおおすぎるのもあってストーリーについて感想(感想?)をつづってみたけど、あいまいな言葉で語るのなら、愛や夢が消えていく瞬間、それはひとつの瞬間ではなく連続的で、崩れ落ちていくそれらを無垢に信じていた瞬間の美しさ。あ、すべて録音のステージは、まさにそれをあらわしている。私が涙したほんとうだと思っていたものは、つくられたもの。夢は、つくられたものなのだろうか? ああ、なんてよくできた映画なんだ……(デヴィッド・リンチに対して今さら何を……)。そういえばデヴィッド・リンチの映画実は初めてちゃんと観たかも。最近ぜんぜん映画観てなかったけど映画熱が復活した。この映画あと5回くらい観たい。おもしろかった。
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