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U・ボートのmagic227のネタバレレビュー・内容・結末

U・ボート(1981年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

海水をかき回す力強いスクリュー音が聞こえ、やがて漆黒の海中から巨大なUボートがゆっくりと向かってくる、まずこのオープニングが凄かった。ヴォルフガング・ペーターゼンの「Uボート」を初めて観た時の印象は一生忘れないでしょう。あの閉塞感、あの息苦しさ、あの恐ろしさ、本当の戦争を知りたくてUボートに乗ったはずの若い従軍記者は、ただ子供のように泣きじゃくり、己の愚かさを懺悔するしか有りません。生きたい、死にたくない、その余りにも根源的な思いが分かり過ぎるくらいに分かるから、地獄のようなジブラルタルの海底からU96が浮上するシーンでは筆舌に尽くし難いカタルシスが感じられます。狭い船内を縦横無尽に動き回るカメラワーク、時に厳かで、時に勇壮なクラウス・ドルディンガーのスコア。あらゆる要素が混然一体となったニュージャーマンシネマの金字塔は、公開から30年たった今も変わらぬ輝きを放っています。
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