エディ

U・ボートのエディのレビュー・感想・評価

U・ボート(1981年製作の映画)
3.5
ナチスの名潜水艦Uボートの乗組員達を描いた潜水艦映画の名作だが、個人的にはこの映画は「潜水艦戦闘の醍醐味」より「閉所暗所での恐怖を味わうサスペンス」みたいな印象を受ける。
舞台は第二次大戦末期で、既に大西洋は連合軍に支配されていて、Uボートは各地で撃沈されてしまっている。そんな中で主人公の広報担当中尉のヴェルナーが30代の艦長と20代の若い乗組員たち40名程度と出撃した。はじめ、深度テストを行ったあとは隠密行動で敵艦を沈めようと待ち伏せするがなかなか成果を挙げられないで、逆に駆逐艦による爆雷の恐怖に怯え逃げ回っている。ようやく挙げたところ、今度は連合軍の基地があるジブラルタル海峡を越えろという自殺行為的な指令を受け、Uボートは決死の通過を試みる。。。

潜水艦映画の魅力は、狭く暗いただでさえストレスに満ちた艦内で、敵との心理戦をするところだろうが、この映画は戦うシーンよりは、敵の爆雷に怯えたり重大事故で危機的な状況に陥るという船内パニックを描いている側面が強い。
乗組員の経験がないせいかナチス末期で十分な戦いができなかったからか判らないけど、戦い方が素人的なのと逃げてばかりなのだ。なので、戦闘シーンはあまりないし迫力もない。
その代わりに、駆逐艦の落とした爆雷に怯えるシーンや事故が起きたときの恐怖を丁寧に描いているので、殺人鬼に見つからないように影を潜めるホラー映画やサスペンスみたいな感覚だ。
ラストもそうだが、この映画は勝ち負けではなく、潜水艦の中の恐怖を通して「密室パニックを描いた映画」のような感じだ。
潜水艦戦の見応えは、「レッド・オクトーバーを追え!」のほうがはるかにあると思う。
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