さとうきび

星の旅人たちのさとうきびのレビュー・感想・評価

星の旅人たち(2010年製作の映画)
4.2
見るだけできっとあなたも旅をしたくなる。見知らぬ土地で見知らぬ人々と交流する、至高のロードムービー。


ストーリー 9/10
主人公含めて根っからの善人ではなく、少しだけ優しさを持った普通の人々なところが好きでした。歩いているうちに、本当に少しずつ仲良くなっていって、最後にはかけがえの無い仲間になっている感じ。映画らしい劇的な転調があるわけではないが、自然な積み重ねが関係を深めていくのがとても微笑ましいストーリーだった。
多分みんな好きだと思うけど、最後の方で高級ホテルに泊まるところ、最高のシーンです。


構成 7/10
基本歩いて休むの繰り返しではあるのだが、見ていて飽きない構成になっていたと思う。会話シーンと無言で歩くシーンの塩梅がよく、たまに入る懐メロ的なBGMも良いアクセントに。移り変わる風景を見ているだけでも楽しめ、まるで4人と一緒に歩いているかのような没入感がある。
ただ、街に着く旅にイベントが発生するので連続性のあるドラマというわけではなく、どことなく連作短編のような感じがして、長編映画としては軽い感じ。


演出 9/10
とにかくメインとなる4人の関係性の見せ方が素敵だった。同じ無言で歩いているシーンでも、前半と後半とではガラリと印象が変わる。セリフも変化するのだが、それぞれの表情や距離などで親密さの違いを演出している箇所が多く、リアルな人間関係を感じられた。時たま見える息子の幻影は、少しテーマ性がブレているような感じがして若干ノイズに。


オリジナリティ 2/5
題材や全体の構成に新しさはない。キャラクターも魅力的ではあるがステレオタイプな印象。


ジャンル性 5/5
ロードムービーに求めているものが全て詰まっている。旅を通しての成長、様々な景色や人々との出会いと別れ。劇中に過去の映像がほとんどなく、現在進行形での旅に集中できるような作りになっていたのも良かった。


映像・美術・音楽 4/5
これだけ色々な場所を移動しているのだから、遠景でバーンと撮りたくなるものだが、あえて巡礼者たちと同じ視点で見せた景色が多かったのが印象的。野宿したり雑魚寝したりとかなりキツめの旅路なのに、登場人物たちがみんなシャキシャキしていて服装も綺麗なのが若干気になった。


キャスト 5/5
監督が実の父をキャスティングしていて、そんで自分も息子役で出てるんだから合うに決まってる。他のキャストも癖が強くてインパクトがあり、満足度高め。


個人的加点減点 +1
『マイティダックス』の監督(役者)でしかエミリオ・エステヴェスを知りませんでしたが
、こんな良い映画撮れるんだという驚きがありました。
私も旅に出たい。そう思わせてくれた作品です。