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星の旅人たちの缶バッジのレビュー・感想・評価

星の旅人たち(2010年製作の映画)
3.4
Primeビデオのおすすめに挙がっていたので何気なく見始めたら、なかなかどうして、ついつい見入ってしまった。
派手なイベントもほとんどなく、淡々と巡礼の日々を描いているんだけど、日本のお遍路さんのようなジメッとした悲壮感が漂うわけでもない正統派ロードムービー。スペインの田舎の景色が長閑で空気も澄んでいて、チーズもワインも美味しそうで、だからといって800kmも歩いてみたいと思うまでには至らず。よく「この映画を見て自分も旅をしたくなった」とかって人がいるけど、800km歩くのって半端な覚悟じゃできないっての。
終盤で立派なホテルに一泊するシーンがあったからいよいよゴール手前かと思いきや、おいおい、”サンティアゴまで222km”とかまだ全然残ってるやん!

セバスチャン警部、いい人だったね。夜中に自宅に押し掛けてもイヤな顔もせず、なんと火葬に付き合ってくれたり、巡礼の見送りにも表れて「お二人で良い旅を」と励ましてくれたり、石をくれたり。
そんなセバスチャン警部が駅まで迎えに来たシーンの挨拶で
「エイブリーさんですか?」
「そうです」
「お電話をしたセバスチャンです」
に続く父ちゃんのセリフが字幕だと「どうも」なんだけど、オリジナルの音声は “Of course!” って応えてるんだよね。学校で教えてくれなかったなあ、こんな使い方。

火葬のあと、乳白色の骨壺に入れられないのも抹香臭くならなくて良かったね。あんなブリキの箱みたいなので持ち歩くなんて、日本人なら逆立ちしたってあんな発想は出ないよね。川に水没しても完全防水だったし落として割れることもない。ただムシーアでの散骨シーンはせっかく海岸まで来たのに、海でなく岩場に散骨してたのが。。。(泣)

原題は“The Way”とド真ん中直球なのに邦題は「星の旅人たち」。息子がお星さまになったから?(笑)バカじゃねーの。
しっくりくる邦題を選べなかったんならそのまま“The Way”で良かったと思うんだよ。
スター・ウォーズだってミッション・インポッシブルだって邦題付けないじゃん。

で、真面目なハナシ、グッとくるポイントは最後の最後で「巡礼の目的は?」と尋ねられてしばらく考えてもいい答えが見つからず、かといって適当に答えることも出来なくて「もうちょっと旅を続けてみないと分からない」っていうあの場面ですかね。なんてことないシーンだけどいい芝居してました。
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