あんがすざろっく

星の旅人たちのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

星の旅人たち(2010年製作の映画)
4.2
日本でいうところのお遍路巡りですね。


亡き息子の果たせなかった願いを叶える為、キリスト教の聖地巡礼の旅を始める父親の物語。

エミリオの監督作は今まで3本見ていますが(メン・アット・ワークは相当昔に見たので忘れてしまっていますが…)、心に沁みてくる作品ばかりだったのと、フォロワーさんの評価も高かったので鑑賞。



スペインを横断するように歩くんですね。
およそ800kmにも及ぶ道程は、大変険しいようですが、毎年大勢の人が巡礼の旅をするそうです。

宿泊所の光景にびっくり。
ベッドだけズラ〜っと並ぶ中で休むんですね。
でもそれもそうなんですよね、皆目的は巡礼の旅で、ちょっと休めればそれでいい。

日常の便利なものから解き放たれた場所で、自分と向き合ったり、新しい出会いがあったり。
自身の信仰心を問う旅になる人もいます。
無心で歩き続けると、自分が何者なのか、
そういう考えに至るものなのかも知れません。

マーティン・シーン演じるトムは、巡礼の旅に出ますが、それは息子への贖罪の念が強い。
周りの景色を味わったり、思いを馳せることもなく、ただ黙々と歩き続けます。
途中ダイエット目的のオランダ人ヨストや、禁煙を誓うヘビースモーカーのカナダ人サラ、スランプ中のアイルランド作家ジャックと出会い、一緒に歩くことになりますが、トムは一向に心を開こうとしません。

だけどトムが酔った勢いでヨストらに怒りをぶつけた時。
ここからが、トムの本当の旅になります。



これはいい。
すごく良かった。

僕はクリスチャンでないけれど、こんな旅をしたら、きっと終着点では、何かしら大きなものを得られる気がします。

得るものはないかも知れないし、禁煙もダイエットも、別に信仰心や巡礼の旅とは関係ないものかも知れません。

だけど何か一つを成し遂げる、普段の生活では出来ないことを体感するということは、見たり聞いたりするのとは別物のような気がします。

ジプシーの親子のシーン、良かったなぁ。


マーティン・シーンとエミリオ・エステベス、やっぱり親子ですね。
並んでいるのを見るとそっくり。

それから、エミリオの横顔見ながら思ったんですけど。
マイケル・ダグラスと血縁関係、ありましたっけ?
そっくりじゃないですか⁉️

調べてみたら、そんなことはないらしくて、それにしては似ているからビックリです。

実はエミリオ、本作の主人公であるトムを父であるマーティンにあてがきして脚本を書いたようですが、マーティンはトム役にマイケル・ダグラスを勧めたのだとか。 
雰囲気似ているんですよね…。

デボラ・カーラ・アンガー久しぶりに見ました。
クールな美女ですよね。

ちょっとしか登場しませんが、チェッキー・カリョも説得力充分。

旅の途中途中で現れるエミリオが、またいいんですね。

役者としても嫌いではないですが、僕はエミリオにはこれからも監督として活躍して欲しいです。

いつか時間と気持ちに余裕ができたら、お遍路巡りをやってみたいかも。
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