このレビューはネタバレを含みます
妻を亡くし息子と2人
堅物な父と息子は価値観が合わずにすれ違う
そんなある日、息子の訃報が伝えられる
旅先で亡くなった息子を迎えに行くトムは、息子が実現出来なかった巡礼の旅に出る事を決意する。息子のバックパックの荷物と共に
唯一の家族であり、大切な1人息子を失った気持ちの整理つかぬまま、すれ違った息子を少しでも知りたいと思ったのだろうか
堅物のトムは淡々と巡礼の旅を進める
しかし、巡礼の旅では多くの人達との出会いが待っていた。旅の目的は人それぞれ
目的なき巡礼の旅路を行くトムも、仲間と出会い、触れ合う中で少しづつ心に変化が生まれてくる
決して派手ではないが、ずっとじんわり素敵なロードムービー
道中の歩くスピードの違い、ずっと最後まで4人は一定の距離が離れていた。それは、巡礼の目的は人それぞれであり、個の旅である事を示しているようだ
それでも足を止め休憩する時、宿で一晩過ごす時、仲間達は距離を近づかせ心を通わせて行った
ヨーロッパの美しい景色と町々の人々の生活に触れ、旅の仲間を知るほどに心は変化して行ったのだろう
決して仲間達に息子の話をする訳でもないし、そもそも映画全体を通して口数がかねり少ない。ずっと歩いてるだけ 笑
でも、それが良い
悲しみを包み込むような温かさがある
悲しみは消えなくても、いつか乗り越えなければならない
旅の終わり、日常に戻ると仲間に伝え、まっすぐに前を見るトムの視線がなんだか安心させてくれる