クローズアップ、まばたきのような暗転、そしてジャンプカット。
本来隠すべき編集やカメラの影をこちらに明示する。
そして何より、強い作家性にヌーヴェルヴァーグの影響が見える。
大筋のストーリーに焦点を当てない手法、監督が関係を持った恋人本人を出演させ、自身を投影した役者とごっこ遊びのような恋愛劇を演じさせる演出など、ゴダールの『勝手にしやがれ』やトリュフォーにおけるジャン=ピエール・レオを想起せずにはいられない。
近年の映画史から見ると映画の私的利用、職権の濫用にも映るが、芸術とは自身を世界の中心に置くことから始まる。