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汚れた血のmozzerのレビュー・感想・評価

汚れた血(1986年製作の映画)
4.0
今のところ(令和6年4月現在)、全国でこの映画が観れるのは和歌山のシネマ203だけかな。

カラックス作品を観るのは二本目なのだけれど、本作でまず驚いたことは、監督が若干28歳でこの映画を撮ったということ。監督がどのような映画に影響を受けてきたのかがよくわかる内容で、当事の世相などもうまく取り入れられていた(あの頃はAIDSという病気が本当に好奇な扱いをメディアなどでされていたと思う)。

アレックスが本好きで、独白などのセリフが詩的な言い回しであったり、知的なユーモアとして言葉を操るところは、ゴダール作品のJ=P.ベルモンドを思い出させる。ヌーベルヴァーグ的演出を意識しているのがよくわかる。色使いも青のローブや黄色のジャケット、赤いセーターなど印象的で、観ている者に強いインパクトを与えるものでした。かと思えば、4、50年頃またはそれ以上前の白黒映画を意識したカットがあったり、製薬会社でのワクチン泥棒はSF的な見せ方をしていたり、またはカーチェイスからの銃撃戦のようなアクションがあったりとこの監督も今で言うオタク的というか、良いと思ったものは全部入れようといったところば、タランティーノにも繋がるような独特な感性を持っていたのだろうと想像させられる。若い頃の勢いなくしては作れない映画だと思いました。

心に残るシーンはやはり、ボウイの「モダンラブ」に合わせてアレックスが踊るシーンで、インパクトがあってとてもカッコいいシーンでした。
そして、最後のアンナが両手を広げて走るシーンの美しさは、あの時あの瞬間にしか撮れないとしか思えないくらいの名シーンでした。

色々詰め込め過ぎなところは、ある意味若気の至りかなとも思えますが、良いものは良いと表現できることは本当に素晴らしいと思う

また1人素晴らしい監督に手会うことができました。シネマ203には、ほんとに感謝感謝!
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