まつこ

汚れた血のまつこのレビュー・感想・評価

汚れた血(1986年製作の映画)
4.1
なんてカッコいいんだ。
深夜の朦朧とする頭で眺める映像はとても前のめりで熱気がこもっているのに儚かった。

疾走感漂うD.ボウイのModern loveが印象的。ギターのカッティングが助走のようで音の広がりと共に加速していくのがたまらない。
ヘッドホンから流れたら身体が自然と疼くだろうけど、街でアレを私がしたらただの不審者になるのが悔しい。

どのシーンもアートのよう。ビノシュの瞳が美しい色紙シーン、リーズとタバコを吸い合うシーン、鳥になったかのようなあのシーン、上げ始めればキリがない。

息を飲むほどに美しいと思えたビノシュの透明感。スクリーンに映える白い肌に意志の強そうな瞳。髪を切ってあの青いガウンを羽織りたい。

万人受けはしないけど好きな人はとことん好きな中毒作品。

愛は謎だらけ。
〝解いてしまえば愛は死んでしまう〟と言うのなら一層わからないままの方がいいのだろうか。
それでも鳥籠の中で撫でられているより大空に羽ばたきたい気はするな。

〝いつの日か別の日か〟

向き合うことができたなら、隙間を埋めるためだけのまやかしは消え、真実の愛が見えてくるのかもしれない。
まつこ

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