Mikiyoshi1986

こわれゆく女のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

こわれゆく女(1974年製作の映画)
4.1
本日6月19日はアメリカの女優ジーナ・ローランズの87歳のお誕生日!
おめでとうございます。

米国インディペンデント映画の父として知られるジョン・カサヴェテス監督の伴侶でもあり、彼の作品で多くの名演技を残したジーナ。
中でも精神状態が不安定になり、奇行に走る妻を熱演した本作は、間違いなく彼女の代表作に相当する傑作であります。

「刑事コロンボ」で有名なピーター・フォークが夫を演じ、現代社会における"愛"への探求をフィルムに収めたカサヴェテスの視点。

カサヴェテスの要求する即興演技を見事な気迫で応えてみせたジーナとピーター。
そこから生まれる緊張感は、とりまく演者をも刺激し、まるで舞台のような感情合戦が繰り広げられます。

良き母、良き妻になろうとするほど情緒不安定を極めてゆくメイベル。
そして彼女の病理を生み出しているのは、家庭の状態を取り持ち、妻と世間との均衡を保ちたい一心で"幸せ"を強要し"楽しみ"を強要しようと奮闘する夫ニック。

本来は俳優にも関わらず、夫婦、子どもたち、家族の愛を独自の視点から見つめたカサヴェテスの作家性は白眉モノです。

キャスティング面で面白いのは、メイベルに激似の母親役はジーナの実母であるレディー・ローランズが演じており、
メイビルの夫ニックの母親役はジョン・カサヴェテスの実母キャサリン・カサヴェテスが担当。
これぞ芸能一家の身内で作り上げたインディペンデント映画の鏡!

ちなみにニックという役名はジョン・カサヴェテスとジーナの息子の名前でもあり、
ニック・カサヴェテスはその後父と同じ映画監督の道に進んで恋愛映画「君に読む物語」を生み出すことに。(それに母ジーナも出演してる)

それにしてもジーナはそこそこのおばちゃんだけどすんごく可愛い。
着てる服も可愛い。
いつまでもお元気で!
Mikiyoshi1986

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