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こわれゆく女のleylaのレビュー・感想・評価

こわれゆく女(1974年製作の映画)
4.5
再鑑賞

土木工事の現場監督をしていて粗野な夫ニックと不安定で繊細な妻メイベル。しだいに精神を病んでいく妻を普通に戻そうとする夫との夫婦愛を描いたドラマ。

メイベルは、最初は普通の良き妻であり母であったはず。子どもたちが母を大好きなことがそれを物語っていると思う。ニックと暮らすうちに、繊細な彼女の精神は徐々にこわれていったんだろうと推測させられる。それは原題の意味の通りかと。ニックはやってはいけないことばかりするけど、妻を愛していることはちゃんとわかる。そこが観ていてやるせない。

徐々にこわれていく妻をジーナ・ローランズがリアリティのある演技で演じています。一瞬の気も抜けない繊細な演技。ジーナはほんとにカッコよくて好きな女優だなぁ。観ているこちらがヒリヒリするような緊張感を強いられる二人の芝居は見事でした。

全く合わなさそうな二人なのにちゃんと愛し合っていて、互いを必要としている。この先もずっとこの関係を続けていくんだろうな、たまんないなと思わせるラストは、観ている人の心配なんて突き放すようで気持ちよかった。
カサヴェテスの映画の根底にはつねに愛があるので、多少長くても、退屈でも好きです。
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