オトマイム

ヘンリー・フールのオトマイムのレビュー・感想・評価

ヘンリー・フール(1997年製作の映画)
4.0
いつもとすこし違う世界に一瞬戸惑った。貧困地域のコミュニティ。ずっと苦虫を噛み潰したような顔をしているサイモン、鬱病、性欲過多、弱者への暴力、虐待、DVなどなど問題続出。サイモンは詩を書き始める。掃き溜めのような中から生まれる詩。果たしてどんな詩?期待はどんどん高まる。詩でも絵画でも内面をさらけ出したものに人は心動かされる。

監督は新しい世界を模索しているようにも感じた。それでも泥臭さに振り切れず小綺麗にまとまっているところ、例えば嘔吐や排泄描写があっても腐臭ゼロなところは彼らしいと思うし、音と心情あるいは展開の変化の絶妙なリンクには心震える。ハートリーはいい。じわじわと充足感が満ちてくる。

ヘンリー・フール・トリロジー第1作