うみぼうず

リバティ・バランスを射った男のうみぼうずのレビュー・感想・評価

4.0
麦酒は酒ではない。パワーワードです。

ど真ん中の西部劇かと思って観たら、西部劇の終焉と次の時代へと繋がる物語だった。"伝説が事実に"なる時を目の当たりにし、トムに時代の移り変わりと孤独とをみて寂寞の思いを感じる。

銃と暴力から、法と秩序の時代へ。今でこそ当たり前だがこの時代では言うは易し、行うは難し。銃と法律どちらが欠けてもこの映画は成り立たない時代の過渡期だからこそ。
黒人差別はもとより、女性の読み書きや参政権がない事が普通の時代。権利を享受できるのは先人の戦いがあったからで、リバティ・バランスという暴力の権化を倒すことに価値がある。まさにタイトル通りの物語。

ハリーは昔 声が大きく帽子を蹴ったりとだいぶお転婆。「いい奥さん」になるにはいいかもしれないが、自分で聖書を読めるようになりたい純真さがこの映画の大事な決断に影響を及ぼすとは。

しかし映画とはいえ皆 楽しそうだな〜。豊かさ(便利さ)が幸せを作る要素のひとつとは思うけど、不便ながら酒やタバコや宗教に拠り所があってドタバタさも相まってエネルギーを感じる。

登場人物多いのに全員が生き生きとしていてキャラがあり、白黒の画面の中にちゃんと存在している。とても良い映画だった。
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