たにたに

リバティ・バランスを射った男のたにたにのレビュー・感想・評価

4.2
【視点】2023年38本目

西部で自らの身を守るには、銃を持つしかない。弁護士であるランスはリバティ・バランスからの酷い扱いに、非暴力によって解決を図ろうとするも、もはやそれは西部では役に立たない手法なのであった。

リバティ・バランスに物怖じしないランスと、ランスを助けようと言葉巧みにいなそうとするトム(ジョン・ウェイン)の関係性は、どちらもレストランの一人娘を想う気持ちから生じており、その娘の好意の行先がまた見事にノスタルジックに表現される。

リバティバランスを射った男。
それはどこか違和感を与えてくる。
拳銃を握ったことのない男が、利き手とは逆の手でリバティに勝利するのだ。
その背景にある事実を知った時、我々は現実に対する見方を改め直す。
その事実というのは、さまざまな陰謀論にかき消されていくのも現実。
知らなければよかった現実だってある。

ランスは、その事実によっていまこの瞬間ヒーローとして生きている。しかし、その生き様は間違って世間に受け止められてしまっていることもあり、彼はこれからその世間からの目に苦悩していく。

切り取った現実が必ずしも正しいとは限らない。違う視点からみるとまた違う事実がみえてくる。映画表現の可能性を感じさせてくれる。
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