猫とフェレットと暮らす人

英国王のスピーチの猫とフェレットと暮らす人のネタバレレビュー・内容・結末

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「音」が苦手な内気な国王が、「音」の得意な友人の助けを借りて、「音」によって国を治めたお話を「音」を使って表現した作品。

吃音に悩む内気なジョージ6世と饒舌で相手が王子であろうが物怖じしない言語聴覚士ライオネルの掛け合いと「音」をテーマとした演出が素敵すぎてうっとりする、友情っていいね。

ジョージ6世(コリン・ファース)=この時まだアルバート王子が、言語聴覚士ライオネル・ローグ (ジェフリー・ラッシュ)と初めて1対1で話をするカウンセリングのシーンの演出が素敵すぎて、見とれてしまいました。

吃音症の治療をする言語聴覚士ライオネルが饒舌w。

言語聴覚士ライオネルの医院にて2人だけで会話がなされるが、BGMがない。
会話と口笛とお茶を入れるときに移動する足音が響く。
この音を限定した演出で、2人の会話やしぐさに集中できるし、会話するときの構図とカット割りが気持ちいい。とくに、構図は被写体が左右どちらかにけっこう寄ってる。違和感とも受け取れるくらいの偏りが2人の距離感を演出してて凄いなって思う。

そして、声を録音する時にヘッドホンから爆音クラシック(「フィガロの結婚」序曲:モーツァルト)。
爆音なので、ちゃんと喋れてるか?と、BGMにかき消される演出。
言語聴覚士ライオネル「おみごとでした!」というが、アルバート王子=のちのジョージ6世は聞かず。
録音したレコードを渡す。

このカウンセリングのシーンだけで、音、吃音、音楽といった、とにかく音にこだわりがある演出が素敵。

また、映像も素晴らしい。
散歩に来た霧がかかった公園が美しい。イギリスらしい風景。
そして、喧嘩別れ。
せっかくライオネルが謝罪に訪れたのに、アルバート王子は会ってくれずに雨の中帰される。
雨の多いイギリスらしい。

その後アルバート王子は、ジョージ6世として国王になることになちゃって、頼りのライオネルの所に謝罪に訪れて、1シリング返すとは、洒落てる。

戴冠式(たいかんしき)でジョージ6世が即位するときの映像が本物の映像って凄い。家族で観てる構図も素敵。

最後のスピーチの場面もよかった。BGM(交響曲第7番 第2楽章:ベートーベン)もいい。
BGMに乗ってスピーチしてる。音、吃音、音楽がスピーチによって融合してる。
すばらしい!

スピーチ成功の後に、やっと、ジョージ6世(コリン・ファース)がライオネル・ローグ (ジェフリー・ラッシュ)名前「ライオネル」って呼んで、その返しにライオネルは「国王」って呼ぶのも洒落てる。
ずっと、ライオネルはずっと、ジョージ6世の事「バーティ」って呼んでたやん。

バルコニーで手を振ってる姿が誇らしい。BGMはピアノ協奏曲第5番「皇帝」第2楽章:ベートーベン。

美しく終わって良かった。実話だから、なおさら良い。

ベートーベンが敵国ドイツの作曲家とか一瞬気になったけど、そんなの考えてる時点でヤボだと反省。バッチリあってる。

余談ですが、2022年4月21日で96歳を迎え、即位70年の現在のエリザベス女王(エリザベス2世)は、この映画の主人公ジョージ6世の子供(長女)だよ。映画でも子供のころが描かれてたね。