菩薩

火星のカノンの菩薩のレビュー・感想・評価

火星のカノン(2001年製作の映画)
4.3
『冬の河童』の反転とも捉えられようがあちらが遊戯じみた言わば子供の関係性の解消だとしたら、こちらはSEXが前景化されより大人じみた関係性が強調されていく。とは言え結局やっている事は『メロデ』の延長線上にあるし、此処でも三角とも言い切れない多角型で刺々しい人間模様が理屈では語れない感情を中心に据えつつ展開されていく。火曜日、火星を象徴するかの様に紅い電飾の点滅が目を引く。ズルズルといつまでだって続いてしまいそうな週に一日の不倫関係とそれを食い止めどうしても奪ってしまいたが為に隣家に引っ越しまでして来る執念。ともすればただ単にドロドロとした嫌〜な雰囲気に終わってしまいそうな映画を渋川清彦の柔軟さが緩衝材として中和をしている、トーテムポールを担いで運んでくる渋川清彦は見もの。まるでやる気のない面白みもない卓球シーンがまさに本作を物語る、勝負に出た方が負けることが前提とされた戦いとでも言うべきか。衝立により視覚的には遮られた中での洗剤の受け渡しに何故か猛烈な感銘を受けた。こうも風間志織がしっくり来るのはそもそもハチクロが好き過ぎるからでは…?とも思ったが、むしろ『南瓜とマヨネーズ』はこの人に撮って欲しかった…。
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