ぽかぽか

火星のカノンのぽかぽかのレビュー・感想・評価

火星のカノン(2001年製作の映画)
5.0
超絶百合ゼロ年代邦画最高傑作人生ベスト風間志織最高到達点。ファーストショットからいきなり始まる「寄りかかること」の表象/連なり。クノ真季子と小日向文世のベッドシーンが死ぬほど良くて号泣した。こうすれば男女のエッチな営みに見えるでしょ?みたいな生半可なものではなく、表情や些細な手の動きや間が驚くほどに自然でリアルで、まるで本物の愛が顕現しているように見える。スーパーに買い物にいくシーンの演出とか尋常じゃない手腕。まったくサスペンスとは程遠いような場所が瞬く間にサスペンスへと変貌する映画のマジック。自転車2ケツからの屋上ショット、マジでヤバすぎて失禁しかけた…。その後の「あんた何も分かってないの。そういうこと理屈で言うのほんとにやめろよ」の発話のぎこちなさ(!)。ラストの食卓シーンに挟まれる重ね合わせた手のクローズアップ(!)。

「愛してる」ってどうしてこんなに嘘っぽい言葉なんだろう。でもなんかキスしてる時の背中を撫で回す指先の温度で確かなものを感じるからまあ信じてもいいかなとか思ったり。相手の目を見て両頬に手で触れて確かめる。そういう時は思考の一切が消えて、「ただ見る」「ただ触れる」だけが残る。ってことは言葉は全部ウソで身体だけがホントってこと? 分からない。倫理は言葉に帰属して感情は身体に帰属する?なにも分からない。分からないからこそ愚直に、「ただ見る」「ただ触れる」、「ただ想う」。
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