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お姐ちゃんはツイてるぜの一のレビュー・感想・評価

お姐ちゃんはツイてるぜ(1960年製作の映画)
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お姐ちゃんシリーズ最高だなー。役者の演技もストーリーもノリノリである。令子&そのみ&規子の三人が次から次へ彼氏を入れ換えていく高速スワッピング・コメディ。映画で取り上げられるビートカルチャーに沿っていえば、フリーセックスである(もちろん映画内ではノーセックス)。にしても、60年にしてヒッピー以前のビートカルチャーをガンガン(雑に)取り入れる白坂のトレンディな感性よ。前衛舞踏家・岡田真澄がドヤ街でしきりに「スケァ(むろんSquareのことである)」な生き方を非難する場面があるが、ヒップとスクエアをリスト化したノーマン・メイラー『ぼく自身のための広告』の出版は59年。和訳が出たのは62年。それを紹介した植草甚一『僕は散歩と雑学が好き』は70年。60年当時のこの映画の観客には意味が伝わっていたのだろうか。この場面、メディア宣伝のために政治家があえてドヤ街にやってくる描写も細かいけど気が利いていた。そしてもちろん鍋の具は猫肉だ。グリニッジ・ヴィレッジから禅を学びに来たビートのアメリカ人なんてのも登場するし、ビートが集うパーティーでは団令子がペヨーテでグラングランに。このあたりのカルチャーがリアルタイムに日本でどう伝わっていたのかがスゲー気になってしまう。それはさておき、非常に楽しいシスターフッド映画である。中島そのみと高島忠夫の突然ミュージカルも良かった。あと下痢しかしてない柳沢真一とカメラに目線を送る団令子との謎の電話スプリットスクリーンお茶目。
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