カタパルトスープレックス

法の外のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

法の外(1921年製作の映画)
3.5
『フリークス』(1932年)で有名なトッド・ブラウニング監督の珍しいサスペンス映画です。早過ぎたフィルム・ノワールと行ってもいい。

孔子の教えに従い、悪の道から足を洗うことを決めたマッデン(ラルフ・ルイス)とモーリー(プリシラ・ディーン)の父娘。しかし、元部下のブラッキー(ロン・チェイニー)に嵌められて、父マッデンは刑務所行き。「なんなのよ!孔子の教えなんて嘘じゃない!」と再びグレるモーリー。そんなモーリーを宝石強盗に誘い込むブラッキー。当然ながらブラッキーはモーリーも嵌めようとします。マッデンとモーリーは孔子の教えに従うことで幸せを得ることができるのか?という話です。

トッド・ブラウニング監督と言えば怪奇モノなのですが、このサスペンス映画も悪くないです。しかし、この映画のMVPはなんと言ってもプリシラ・ディーン!淑女と悪女を見事に演技分けています。一つのカットでまるで別人!

1920年の映画なのでフィルム・ノワールとしての完成度はそれほど高くはありません。プリシラ・ディーンもファム・ファタールになりきれない。犯罪映画なのに、どことなく牧歌的な雰囲気すらあります(子供とコッカースパニエルがめっちゃカワイイ😍)。でも、そのなりきれなさがいいんだよなあ。ボクは嫌いじゃないです。