寄り道わき道

マイケル・コリンズの寄り道わき道のネタバレレビュー・内容・結末

マイケル・コリンズ(1996年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりに再視聴しました。
本作はアイルランド独立運動を描いた映画。モネのような色彩の映像美と歴史をしっかりを描いた内容の充実さもあり(史実とは違う部分もあるらしいが)、名作と言えると思う。歴史ものだと思って敬遠してる方もぜひ見ていただきたい。画面構成や表現技法の巧みさ、そして何より歴史映画としても戦いの苛烈さが見事に描かれています。

コリンズ役のリーアム・ニーソンの存在感も素晴らしく…彼の人間味と力強いリーダー力が人々を惹きつけていたのだと映像から感じる説得感が凄い。ジュリアロバーツとのロマンスや親友ハリーとの部分は映画にドラマチックさと色鮮やかさを増やしていますよね。よかったです。

アラン演じるデ・ヴァレラはアイルランド共和国第3代大統領。最初のアランの独白シーン、静かな声に乗せた感情と重み。仲間を撃つ銃声を聞いた時の反応やペンを持つ手の震え、息遣い。意志を感じる声と目線の演技。実際戦えばわかると言われた時の複雑な感情。後半の政治的そして人間的弱さの様子が見えたり…繊細な表現があって本当にアランリックマンという俳優の素晴らしさをひしひしの感じられます。怒りのシーンの迫力は相変わらずさすがとしか言いようがないですし、最後の涙の演技によって増した人間味に心揺さぶられて…!コリンズとの関係性や立場間の相違の雰囲気も見事に演じられてますね。

この作品の凄い点は、アランの演技力を存分に使い、画面にリアリティさ、重厚感を付け加えていること。そしてとにかくアランから滲み出る知的さと優雅さによって政治家としての威厳も感じられ、この映画の内面的な解釈でも(監督のデ・ヴァレラは肯定的ではないらしいが)、デ・ヴァレラという人物の存在感が理解出来ました。アランの彼の欠点も把握した上での役作りは圧巻ですね。最後の最後で一気に引き込む、みたいなのアラン映画あるあるなのかしら???

個人的に眼鏡オタクなのでメガネ姿バチくそ刺さるし、スーツ姿も最高だし、礼拝中のアラン素敵すぎて思わず叫んじゃって、歴史映画なのにビジュ最高すぎるんですよね。
それにしても仕立てのいいコート、なんだかローブみたい😂声だけのシーンでアランってわかるのみんなもだよね!?脱出後の女性物の帽子とコート被せられて「what's this」っていう囁き声もえぐいし、その後ジョーク言い合ってる時の笑顔も最高。ここのシーンの乙女走りは演技ですか??(?)

とまぁそれは置いといて…

私自身、アイルランド史に関して疎かったので勉強のきっかけになりました!アイルランド人の方の海外レビューを数件見たが、よく出来ている、歴史を正確に描いているとあったので、普通にみんな一度は見てみたらいいと思います。久しぶりに見ましたけど心に響く内容だし、今だからこそ見るべき映画かもしれない。
1996年のヴェネツィア映画祭で最優秀作品賞の金獅子賞に選ばれたのは当然のことだろうて…。

「平和を得るためなら死んでもいい、俺は英国人を恨むよ、民族性じゃなく我々を暴力に駆り立てることで、俺も憎い、そうさせた連中も憎い。国を返せ、暮らすための育つための、愛すため。」

日本語版dvdあり、確かU-NEXTの配信もあり(アマプラやhuluもレンタル課金なら)