うにたべたい

ウルトラマンタロウ 血を吸う花は少女の精のうにたべたいのレビュー・感想・評価

3.5
1974年春のチャンピオンまつりで上映された、劇場版ウルトラマンタロウ3作目。
上映された1974年3月というと、ウルトラマンタロウのテレビ放映も終盤です。
丸一年、全53話が放映されたウルトラマンタロウもあと数話というところに来ており、本作は、そんなタロウの子どもたちの印象に強く残る最後の劇場版なわけです。
タロウといえば、過去のウルトラマンとは違ったコミカルな展開か印象的ですね。
閻魔大王そっくりなエンマーゴや、子連れ怪獣パンドラ、セミ型怪獣キングゼミラ、もちを求めて月からやってきたモチロンなどなど、賛否はあれどタロウらしい名作回が色々あります。
そんな中、選ばれたのは、第11話『血を吸う花は少女の精』、登場怪獣は蔦怪獣バサラです。

本作のストーリーは以下のような感じです。
連続吸血殺人事件が発生し、ZATは調査に乗り出す。その殺人現場に、紅い花を握りしめた少女がいた。
そしてその頃、這い回って人間を襲う、蔦のような植物が現れる。
少女が持っていた花と同じ紅い花を咲かせたその蔦の根本をたどると、それは捨て子塚に続いていた。
ZATが蔦を根本から掘り起こそうとしたところ、地中から蔦怪獣バサラが現れる。

蔦はバサラの身体の一部であり、バサラとタロウが戦う展開です。
ただ、他の回と違って、怪獣を退治してスッキリ終わるのでなく、蔦怪獣は倒された後に蘇り、お経のような声とともに捨て子塚のあった寺を燃やします。
そして少女は、あの紅い花を探してハサミの音を響かせるという、タロウ屈指のホラー回となっています。
本作で恐ろしいのはバサラではなくこの少女で、どうもバサラに吸血させるためにバサラの体の一部である紅い花を配っていた節があるんです。
少女もまた捨て子という設定で、義母と折り合いが悪く、紅い花を使って殺害したと取れる描写があります。
サスペンスホラーの登場人物のようなこの少女の目的は最後まで明かされることはなく、ある意味、少年たちにタロウの印象を強く植え付けるチョイスだと思います(トラウマ的な意味で)。

おもしろくないわけではないのですが、なぜ数あるタロウの名作の中からこのガチホラー回が選定されたのかは果てしなく謎です。
子どもたちをドン引きさせて、次回作のレオへの期待を高めたかったのだろうか。