てれ

エデンの東のてれのレビュー・感想・評価

エデンの東(1954年製作の映画)
3.7
50~60年代のハリウッドってなんとなく名作揃いのイメージ。確かにこれは名作を観たって感じがする。

キャルは父から出来の悪い息子扱いされてるんだけど実は繊細で傷つきやすいっていうのが見てて分かる。ただ父に愛されたい認められたいという気持ちを上手く言語化できなくて、幼稚に振る舞ったり自暴自棄になったりするところがとても痛々しかった。
父が事業で失敗した時に、その損額を取り戻そうと健気に頑張る姿が劇中でいちばん生き生きしていた。大豆畑で子供みたいにはしゃぐキャルが凄くいとおしくて、いちばん好きなシーンだ。

まあそんな父に喜んでもらいたい一心で稼いだお金を渡すくだりはもう薄々と展開は想像ついてたけど、それでもね。うん。マジで何回見てもうわぁってなる。あの時のキャルの表情には、心が抉られる。何よりジェームズ・ディーンの憑依したような演技が凄かった。

前半はキャルの兄の恋人だけかと思ってたアブラがけっこう重要人物。キャルと同じような境遇にいて、立ち直れた人だからこそキャルに寄り添えたのだと思う。アブラがいることで、見ているこちら側も救われた気分になるのでは? 少なくとも私は彼女を見ていて、いてくれて本当に良かった人物だと思った。

で、ジェームズ・ディーン本人の魅力なんですけども。美しいという一言じゃ片付けられない。性別と時空を超越してる。反抗的な雰囲気があるのに、汚れがない。むしろ清らか。その清らかな魂が悲鳴をあげてる感じ。母性本能を刺激するような上目遣いとか、ふとした瞬間に見せるあどけない笑顔とか、いちいち心臓がぎゅっと掴まれる。こんな危うげで愛くるしく儚い青年ほっとけないわ。

「理由なき反抗」を小6か中1くらいの時に何故か観ていて、当然のようにガキんちょだったのでハマらなかったんだけど、数年越しにまさかこんなにジェームズ・ディーンにハマるとは思ってなかった…とりあえず「理由なき反抗」を再観賞しよう。
てれ

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