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エデンの東のayukaのレビュー・感想・評価

エデンの東(1954年製作の映画)
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めちゃくちゃよかった。キャル、年齢もあるだろうけど性格も繊細で家庭環境も、キャルだけが背負ってきたものも重く複雑で、ジェームズディーンだから演じられた役なのではないかと思った。とても共感できる役だった。きっと誰しも自分は他人よりも劣っていて、悪の部分が強くてっていうことは思ったことがあると思う。自己分析は自分にしかできないものだから、そう思うのも普通のことなんだとは思うけれど。

私の母が、ジェームズディーン好きなんだけど、「あのね、あの寂しそうな瞳がすごく印象的でし忘れられない」って言ってた。この映画みたらその意味がすごく分かった。ジェームズディーンを初めて映画でみたのは理由なき反抗だけど、その時の目ともまた違う種類の孤独を持った目をしていた。演技力がすごいっていう評価もまたこの映画ですごい納得した。

理由なき反抗、エデンの東しかジェームズディーン出演作は見てないけど、特有の孤独や複雑を抱えた若者を演じさせたらピカイチなんではないか。そんな悲しい目をしたジェームズディーンよ、私はあなたの人生にも興味が湧いてきたよ。

映画のなかでのキャルの描き方もとても丁寧で良い。ドランのMommyを見た時のような感情の揺れ動きがあった。いちばんえぐいこころの痛みを、親に対するコンプレックスを描きたくないところを描いていてそこにすごくすごく辛くなった。

自分なんて、、自分なんて、と自分の価値を否定する、暗く孤独でどうしようもない気持ち。時代を超えて存在するんだなあ。ステインベックがこの小説を書いた時、ジェームズディーンがこの映画で演じた時、わたしが今生きている時、そこらじゅうに愛にまどわされ苦しめられ、それでもずっとそれを求める人たちがいるんだ。

キャルについてを話してきたけど、戦争においても、善と悪、良し悪しという形や答えのないものに対しても、疑問を投げかけているとてもとても深い物語だった。

ちょうど今受けている授業でやってるのだが、戦争で儲かるのは政治的、もしくは商業的なリーダーだけであると。戦争でお金を設けるのは道徳的に良いのか?キャルの行動は道徳的に正しかったのか?私には分からない。かんがえる余地が十分にありますね。

今回この映画をみたのはサリーナスが舞台だったのとこの前ステインベック原作の映画を見たのとジェームズディーンが主演だったのとで。しかしながらその好奇心で見た以上に感じたことが多かったです。よかった。
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