あかぬ

数に溺れてのあかぬのネタバレレビュー・内容・結末

数に溺れて(1988年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

開幕早々、星の数を100まで数え続ける縄跳び少女と鳥の屍がドドンと登場、冒頭から魔力強すぎでしょって思ってたらその感じが最後までずっと続く。作中に散りばめられた1〜100の数字は物語において重要な役割を果たしてくれるのかと思いきや、さほど関連性は見つけられず…物語の終結までのカウントダウンと、ドロドロになった脳の体操として機能してくれた。
ほか3作品を観てしまった後だからなのか、「英国式庭園殺人事件」や「ZOO」の時のような新鮮さやワクワクは感じられず、終始ピーター・グリーナウェイ節を見せつけられちゃったぜという感想。うっとりするような絵画的な画作りや、ブラックコメディ感ある上品な言い回しは今作でも健在。
そして相変わらずピーター・グリーナウェイは、頭がよくキレてしたたかな美女に男どもが翻弄される構図が大好きだなあ。男が女に勝つストーリーは書かなさそう。

99、スマットが亡くなってしまったことがショックすぎて受け入れられなかったこともあり、この作品がなかなか好きになれなかった。やっぱり私は罪のない子どもが死んでしまう結末はとても苦手です。冒頭の縄跳び少女が言っていた「100まで数えたらあとはおんなじ」ってセリフと何か関係がありそうではある。
ボート上で3人のシシーが殺した夫たちに別れを告げ、順々に検視官へキスしたのち軽やかに泳いで去っていくやラストは視覚的な要素や哀愁も含めてよかったし、忘れないだろうなとおもう。

3週間にわたって通い詰めた渋谷イメフォのピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ、これにて無事完走。ありがとう。
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