一人旅

ゲート・トゥ・ヘヴンの一人旅のレビュー・感想・評価

ゲート・トゥ・ヘヴン(2003年製作の映画)
4.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ファイト・ヘルマー監督作。

空港の地下で暮らすロシア人の男と清掃係のインド人の女の恋を描いたヒューマンドラマ。

空港を舞台にしたドイツ映画で、作風的には『ターミナル』(2004)よりも『パリ空港の人々』(1993)に近い。フランクフルト空港を舞台に、空港の地下で暮らす不法入国者のロシア人アレクセイと、母国に残した幼い息子を気にかけながら空港の清掃係として働くインド人ニーシャの恋の行方を、アレクセイ同様空港の地下に住み着いた国際色豊かな不法入国者たちとの交流を織り交ぜながら描く。

空港の敷地内を自由気ままに行き来するアレクセイ。荷物用のベルトコンベアーに乗って楽チン移動したり、誰もいない夜の旅客機をデートスポットにしたり、ロビーのガラス天井から大好きなニーシャの後頭部を見つめてみたり…。テロが頻発する今現在の情勢を考えると到底あり得ないレベルに空港の管理体制が杜撰で飽きれてしまうのだが、空港を自分専用の庭のように使いこなすアレクセイの自由すぎる行動は見ていて楽しいし、旅客機の翼に乗って恋人とビールを飲むなんて最高にロマンチック。まるで巨大な秘密基地のような感覚で空港が描かれるため不思議とワクワクする。

空港内部の複雑な構造を隅々まで行き来する毎日を送りながら、アレクセイはニーシャへの想いを膨らませてゆく。そんな中、ニーシャの幼い息子をインドからドイツへ不法入国させるため、アレクセイはありったけの金と人脈を使い奔走することに。

果たしてニーシャの息子は無事に辿り着けるのか?
そして
アレクセイとニーシャの恋の行方は?

…というのが物語の核となる部分で、クライマックスの“無謀”な奪還劇はほのぼのとしたそれまでの空気を一気にぶち壊すほどの衝撃が走る。終盤になって何でもありの急展開を持ち込んでしまったのはちょっと惜しい気もするが、愛と未来への希望に満ち溢れた結末は爽快で、観ている人みんなをハッピーな気分にさせてくれる。

舞台を空港に限定した人間賛歌的ハートフルヒューマンドラマの良作。
一人旅

一人旅