櫻イミト

野望の系列の櫻イミトのレビュー・感想・評価

野望の系列(1961年製作の映画)
3.5
「ローラ殺人事件」(1944)「バニー・レークは行方不明」(1965)のオットー・プレミンジャー監督による本格政治ドラマ。原作はピューリッツァー賞を受賞した同名の政治小説。日本では1965年にATG配給で公開。

大統領が新しく指名したリベラルな国務長官レフィングウェル(ヘンリー・フォンダ)の去就を巡り、賛成派と反対派が共産主義疑惑や同性愛スキャンダルで応酬する。。。アメリカの政治の世界と渦巻く人間模様を描き出す。

政治ドラマとしてわかりやすく楽しめた。その後に数多く作られる政治ドラマの原点と言える。ただ、登場人物が多いため各人の掘り下げが少々物足りないと感じた。物語の柱となるレフィングウェル(フォンダ)の出番も少なめだったのだが、彼自身の意志をもっと踏み込んで描いてほしかった。ただタイトルにあるように政治界の”系列”を描くという点から見たら登場人物はチェスの駒でありベターな演出だったのかもしれない。

※反対派の老獪な政治家を演ずるチャールズ・ロートンは名作カルト映画「狩人の夜」(1955)を監督した才人。本作の撮影直後に亡くなり遺作となった。

※2022.10.26追記
「セルロイド・クローゼット」(1995)によると、ゲイの集まりの描写が早期に行われた作品
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