真っ黒こげ太郎

ティアーズ・オブ・ザ・サンの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

4.5
「…大尉!」「…交戦のルールは!」

「…黙って見過ごせるか。」

この時の横目遣いがステイサムさんっぽくてかっこいい(小並感)




内戦が続き混迷を極めるナイジェリア。
ウォーターズ大尉率いるネイビーシールズに「ナイジェリアから現地の女医リーナ・ケンドリックスを救出せよ」と任務が下る。

「患者と一緒でなければ脱出しない!」と脱出を拒むリーナ。
ウォーターズは仕方なく「歩ける難民は連れてってもいい」という条件で、難民と共に合流地点に向かう。
合流地点に着いたウォーターズだったが、結局難民は乗せず、リーナを強引に乗せてヘリで飛び立ってしまう。
任務はリーナを連れ帰る事だけ。任務はこれで完了したのだ。

だがその帰路で思い悩むウォーターズ大尉とその仲間達。
その最中、空から反乱軍に虐殺された村を目撃する。このままでは置き去りにした難民たちも危ない。
ウォーターズはヘリを引き返し、子供や老人や足の悪い難民をヘリに満員まで乗せ飛び立せる。

ウォーターズと仲間達、そしてリーナと難民達は陸路でカメルーン国境を目指す。
しかし、極悪非道の反乱軍もその後を追っていた…。



ナイジェリアの戦地を舞台に、ネイビーシールズの難民救出&逃避行を描いた、ミリタリーアクション&ドラマ。
監督は「エンド・オブ・ホワイトハウス 」や「イコライザー」シリーズのアントワーン・フークア監督。

元々は「ダイハード」シリーズの4作目として企画されてたのが、アフリカの石油利権問題と民族浄化というテーマ性を考慮して別物としてシリアスな戦争ドラマに変更されたそうな。


ですが、自分はそういった事情はよく分からないし、アメリカ万歳とかそういうのもぶっちゃけどうでもよかった。
正直な話、ただ単にブルース・ウィリスさんのミリタリーアクションが観たくて本作をレンタルしたのだ。
お涙頂戴話より、泥臭いドンパチが観たくてDVDを手に取るような映画人生であります。w


そんなこんなでメシ食いながら何となく観たが、凄まじいシリアスなドラマで最初から引き込まれた。
そして最後まで目が離せなかった!!!

お話自体は「民族救出のため国境へ向かう」的お話。
如何にも「主人公のアメリカ軍がヒーローで、反乱軍が悪党」的な感じに描かれている。見事なまでの勧善懲悪!!!

しかし、そんな内容もウィリスさんのヒーローが似合う演技のおかげで、全く違和感を感じさせません。
(俺だけかもしれませんが。)

”命令に従うも、目の前で悲劇が起こっている、でも戻れば、大勢の人を救える。”
”今、目の前で起きている事に対して、自分の熱き心に従い、今の自分に出来ることを行う。”

「自分が正しいと思う事をする」という行動や葛藤をウィリスさんは抜群の演技で見せています。
ヘリを引き返す命令を下す場面や、中盤何故戻ったかを兵士に聞かれた時は実に良い場面になってました。
冒頭の敵と戦う決意を固める台詞も熱かったですね。
流石、ダイハードな男。後に消耗品軍団のレギュラーになる漢だけありますね。
(3作目は降りたけどw)


「男の価値は髪の毛の量で決まるモンじゃない!!!ハートで決まるんだぁ!!!」
(木曜洋画のCM風に)


そしてそれをさらに盛り上げる戦時下でのドラマ。
個人的には戦場で兵士が「戦いたくないよ~」とか「帰りたいよ~」とか嘆きながらメソメソしてる場面は大嫌いなんですが、本作の兵士はちゃんと結束し、皆で崇高な想いで任務に挑んでいたのが非常に熱い。
更に行動を共にした難民の目線や兵士達が観た反乱軍の非道な所業で戦争の悲劇もしっかりと描き、戦場の悲惨さもシッカリと描かれていた。
戦場の悲惨さの他にも、「実は難民の中に…」的な真相も描かれ、ドラマ方面も面白く見せてくれる。

「トレーニング デイ」や「イコライザー」もそうだけど、フークアさんはこういうシリアスなお話作りが非常に上手いと思う。


アクションシーンもシリアスな題材だけあってリアル寄りに描かれている。
中盤の静かなゲリラ戦やクライマックスの壮絶な脱出戦はどれも見ごたえがあった。
クライマックスは大規模な戦闘に加え、仲間達が容赦なく傷つき倒れてゆく緊張感のある展開。
戦闘機の大規模な見せ場も用意され、ドンパチ成分も補給出来て満足でした。


中盤に差し掛かる頃に少々ダレを感じたり、ヒロインが少々やかましかったり、人間描写がおざなりになって味方の影が薄いのは気になるが、熱くシリアスなドラマに、緊張感のある戦場も描かれた、硬派な一作。

内容は賛否両論ありそうですが、俺は本作、結構好きです。