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女はそれを待っているのpikaのレビュー・感想・評価

女はそれを待っている(1958年製作の映画)
4.5
世界中にいる妊娠経験のある女性、もしくは妊娠希望の女性、そして世界中全男子に見て欲しい傑作。

それ言っちゃアカン!という本音がドバドバ出てくる悲痛な叫びに妊娠経験のある女性なら多くの人が多少なり共感し、感情移入してしまうだろう。
そして妻が母になって変わってしまったと感じる男性はこれを見て、妊娠と出産がどう妻に影響し精神レベルで人間が変化するものかが垣間見れるかもしれない。

設定やストーリーはそこら中どこにでも転がってるような在り来たりなものなのだが、だからこそ普遍的な事象を他人事ではなく自分のことのようにキャラクターの苦悩と叫びを自分の中に投影させてしまう。
起承転結とかそういう映画ではなく、男には絶対的に理解できぬ想像外の観点から女という生き物の生々しいまでの弱さと強さを見せてくれる。

主要人物四人、舞台は小さな病院の中のみというベルイマンらしい小品なのだが、まさにベルイマンらしく見事なまでに人間の精神を丸裸にした生々しさを超客観的に突きつけ感情移入させる凄技逸品。

出産シーンはこれまで見た数々の映画やドラマの出産シーンの中で最もリアルだった。画的に魅せる意味ではなく表情といきみだけで自分の出産記憶が鮮明に蘇ってくる凄さ・・・から絶句させる展開にはまじ勘弁。胸が痛い。ホント恐ろしくなる。

なんでこれDVDないんだろう。もっとたくさんの人に見て欲しい。
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