同様のテーマを扱った後発作品「ターミナル」とほぼ同じ題材のフランス映画(そっちと同じくらい深刻だが、そっちに比べれば幾分軽い)。
こちらもやはり、昨年シャルル・ド・ゴール国際空港で亡くなり、実に17年以上この作品の舞台である同空港で暮らした亡命者のマーハン・カリミ・ナセリ氏に触発されているであろうことは想像に難くはない。
始まって早々に旅券と財布はおろか靴まで盗まれてるロシュフォールが現れる(二重国籍だからって手ぶらで乗るのは彼側にも落ち度ある気が…)。
そこで杓子定規な職員に待たされて苛立たされながら、空港内のトランジットゾーンに留まってそこにいる人々(でるに、でれない)と交流していくのだが、話の緩さも相まって深刻さの割りには能天気。
終わるころにも今後の展望は何も見えない。
どころかブラックコメディのような笑えない逆転も起きているし、事態は悪化しているのかも知れないけれど、ともかく本作はそうやって幕を閉じる。
まァ、時代のおおらかさも相まって、それでも純然たるコメディとして終わりはするけどね。