演出4
演技4
脚本5
撮影4
音楽4
技術4
好み5
インスピレーション4
サミュエル・フラー監督初鑑賞。最後までかなり集中して観てしまった。
プロのスリがすった機密フィルムを巡るアクション・サスペンス。エンタメ作品として普通に高クオリティである一方、ジーン・ピーターズ演じるキャンディがヒロインでありながら、フィルムをすられ、情報屋にぼられ、スリ野郎に顔面を殴られ、仲間にも殴られ撃たれと、ぼっこぼこにされる世にも珍しい映画という側面もある。ぼっこぼこにされながらもスリ野郎に恋してしまい、彼を守ろうと必死に奔走とする姿がいじらしい。
また、情報屋モーも個性的なキャラクターだ。『裏窓』でチャキチャキなメイドを演じたセルマ・リッターが好演。ドライな裏稼業でありながら、きちんとした葬式を挙げるために貯金していたり、身体の節々が傷んで弱気になったりと、ハリウッド映画であまりフィーチャーされることのない「おばあの悩み」を吐露する姿もまた、珍しいシーンかもしれない。
フィルムを巡るシビアな駆け引きの中で、キャンディ、モー、スリ男の人情が互いを結び、事件が収束していく様が見事。