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拾った女のhasseのレビュー・感想・評価

拾った女(1953年製作の映画)
4.3
演出4
演技4
脚本5
撮影4
音楽4
技術4
好み5
インスピレーション4

サミュエル・フラー監督初鑑賞。最後までかなり集中して観てしまった。

プロのスリがすった機密フィルムを巡るアクション・サスペンス。エンタメ作品として普通に高クオリティである一方、ジーン・ピーターズ演じるキャンディがヒロインでありながら、フィルムをすられ、情報屋にぼられ、スリ野郎に顔面を殴られ、仲間にも殴られ撃たれと、ぼっこぼこにされる世にも珍しい映画という側面もある。ぼっこぼこにされながらもスリ野郎に恋してしまい、彼を守ろうと必死に奔走とする姿がいじらしい。

また、情報屋モーも個性的なキャラクターだ。『裏窓』でチャキチャキなメイドを演じたセルマ・リッターが好演。ドライな裏稼業でありながら、きちんとした葬式を挙げるために貯金していたり、身体の節々が傷んで弱気になったりと、ハリウッド映画であまりフィーチャーされることのない「おばあの悩み」を吐露する姿もまた、珍しいシーンかもしれない。

フィルムを巡るシビアな駆け引きの中で、キャンディ、モー、スリ男の人情が互いを結び、事件が収束していく様が見事。
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