継

すべてが狂ってるの継のレビュー・感想・評価

すべてが狂ってる(1960年製作の映画)
3.9
父親を戦争で亡くし、母子家庭に育った高校生の杉田次郎(川地民夫)。金持ちの紳士・南原(芦田伸介)に世話を受ける母親に不信感を募らせ、ムシャクシャして家を飛び出す。
社会の歯車が狂ってしまった戦後の日本。
親の世代と噛み合わず、仲間と折り合いがつけられず、ギシギシ軋んでは溝を広げ、次郎は孤独を深めていく。


劇中でフューチャーされるコールマン・ホーキンス。
「殺しの烙印」が尖ったチャーリー・パーカーなら、本作は確かにマイルドなホーキンスって感じですが、
ビバップ以前から第一線で活躍しながらも時代の潮流に器用に乗り、新進のビバップを己のスタイルに取り込んだのがホーキンス。
次郎が好きなのがパーカーじゃなくホーキンスというのは意図的ではないでしょうが、彼のポスターに羨望の眼差しで見入る姿は、時代に乗りたくても乗れない己を尻目に…と、何か皮肉めいたものを感じさすシーンでした。ただ音楽的には、日本勢のジャズの方がホーキンスよりも本作に合っていた印象です。

触るもの皆キズつけるような、それでいて伏し目がちなナイーブさを併せ持つ主人公・次郎が兎に角魅力的。
車ガンガン運転して、仲間内で○△部屋まで持ってる、スゴい高校生(^o^;)
その反面、親離れ出来てない内面を仲間の女にズバッと指摘させるシーンが上手いなぁと。同い年なら女の方が大人、コレはいつの時代も変わらないようデス(笑)

女優陣は総じて綺麗でしたが、役柄的にもっとビッチな方が合ってた気もします。ただ、この頃の女性の生き方がどれだけ厳しいものだったかは、台詞はなくとも如実に描かれてましたネ、吉永小百合さんは完全に端役で肩透かしを喰らいましたけどww。

あとシンガー役で坂本九さんが歌うんですが「上を向いて歩こう」のイメージと違うステージングでノリノリ♪カッコ良くてちょっとビックリでした。
継