藤田武彦

逃亡くそたわけ-21才の夏の藤田武彦のレビュー・感想・評価

逃亡くそたわけ-21才の夏(2007年製作の映画)
4.2
「彼女が話すだけで、楽器と化す」

主演の美波が素晴らしい/
うねりのある声は、彼女が話すだけで、楽器と化す。

もろさを秘めた美しさと、しなやかなエネルギーを同時に表現できるのは、彼女の天賦の才。

20才の彼女のエネルギーを、スクリーンに固定出来た。

監督・女優とも、この一作のみで、実質的に映画界を休業してしまったのは、日本映画界の損失。

プリズンと呼ぶ精神病院を逃亡した2人。
追ってくる5人のキャラクターも秀逸。
くぐもった重い声の主、怖ろしい姿をした男、暗い顔の男、悲鳴か笑い声か分からない少女。
実際にこんな存在が居るのではないか。(^_^)

オープニングから緊迫感があり、日本映画を越えたスケール感がある。
開聞岳に向かって吠えるシーンは、管理社会に囚われた現代人すべての心を代弁している。

Filmarksのレビューは低過ぎ。
万人におすすめできる傑作です/
藤田武彦

藤田武彦