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グラン・トリノのcookieのネタバレレビュー・内容・結末

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

舞台は自動車産業で有名なデトロイト。隠居生活をしている主人公の妻の葬儀シーンから始まるストーリー。
別れの哀しみの表情を微塵も見せない彼のその後の人生に、こんなにも引き込まれることになるとは!

社会の様々なことに対して感じる苦々しさを、常に表情にも言動にも表すコワルスキー。そのため息子家族には煙たがられているが、その悪態を好意的に受け取る限られた友人たちも存在する。
本来なら差別に聞こえる会話さえも小気味良く感じさせる床屋のシーンが独特で、あとを引く。

多民族で構成される社会。民族に対する思い込みや偏見。それが治安に影響しているのか、荒れている若者たちが気になったが、隣家のスーとタオに限っては人柄の良さが自然と滲み出ており、自分もコワルスキーと同じ感覚で彼らを見ていた。
言葉は通じないが、毎日プレゼントを持ち寄るモン族たちに次第に心を寄せていく様子は、まさに「遠くの親戚より近くの他人」。

家庭で唯一の男性であるタオを一人前の男にすべく、父親のように接し始めるコワルスキーの趣味は「修理」。
きちんと手入れされ、整然と並べられた道具の数々には「おぉ〜!」😲🪛🛠️🪚

隣家を巻き込む悲しすぎる事件。痛々しいスーの姿を映し出すことで、罪の大きさを濁さず訴えかけていた。

朝鮮戦争の体験により、罪の意識から逃れられなかったコワルスキーが最期に贖罪として成したのは、スーやタオから危険人物を永らく遠ざけること。
民族や老若男女を超えた人間愛が、反戦のメッセージを醸しつつ描かれていた。

真っ直ぐな神父、そしてラストシーンとそこに流れる歌も印象的✨

監督・主演はクリント・イーストウッド。彼の息子2人も本作に関わっている。
●音楽 カイル・イーストウッド
●スーのボーイフレンド役 スコット・イーストウッド
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