温泉たまご

グラン・トリノの温泉たまごのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
3.8
2021-28

勤めていたフォードの工場を引退し、妻にも先立たれた孤独な老人ウォルト。その頑固な性格から友人は少なく、二人の息子との溝も大きかった。住宅街に外国人が増えたことを良く思わないウォルトだったが、自宅の庭でモン族の少年タオを不良グループから助けたことから、彼とその家族と交流していくことになり...。


銃を構える写真を見てたからド派手な復讐劇で、バンバンやってく話かと思ってたけど、全く違った。

子供や嫁や、孫のウォルトに対する態度にはイラッとさせられた。扱いの難しいお爺さんだったんだろうけど、家族でこんなふうに言われるのも、言うのも嫌だな。
隣に越してきた文化の違う異民族を、「野蛮人め」と差別し、拒絶していたけれど、とある出来事から一緒に過ごしていくうちに、身内よりも身近に感じる存在なのではないかと思い始めるウォルト。

ワイワイと大人数で楽しむ彼らと、実の家族と確執のあるウォルトとの対比になっていた。彼らと過ごしていくうちに、そういうことも沢山考えたのかな。
あの日、息子に自分から電話をかけたのも、あの懺悔の通り、家族との向き合い方に後悔をしていたからでもあったんだろうなあ。きっと、できれば本当のことを、言いたかったんだろうけど。

ウォルトは頑固で気難しいけれど、冷たい人間ではなくて...。隣人を知り、隣人のために動いたその心は意外と熱かった。
それでよかったのか?って思ったけれど、ケジメの付け方が男だなって感じた。
上手く言えないけど、“渋い”ってこういうことなのかもしれないなって思った。

あと神父さんがなかなかのキーパーソンな気がする。