鍋レモン

グラン・トリノの鍋レモンのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.2
⚪概要とあらすじ
アカデミー作品賞受賞作「ミリオンダラー・ベイビー」以来4年ぶりとなるクリント・イーストウッド監督・主演作。

朝鮮戦争の従軍経験を持つ元自動車工ウォルト・コワルスキーは、妻に先立たれ、愛車“グラン・トリノ”や愛犬と孤独に暮らすだけの日々を送っていた。そんな彼の隣家にモン族の少年タオの一家が越してくる。ある事件をきっかけにして心を通わせ始めたウォルトとタオだったが、タオを仲間に引き入れようとする不良グループが2人の関係を脅かし始め……。

⚪キャッチコピーとセリフ
“俺は迷っていた、人生の締めくくり方を。少年は知らなかった
人生の始め方を。”

「怒らせたのが大間違いという男もいるのだ例えば俺だ」

⚪感想
ヒューマンドラマ作品。

頑固な老人ウォルトとモン族のタオの物語。

クリント・イーストウッドの作品はちょっと重たいというか少し後味が悪く自己犠牲的なものが多いような気がする。

先が読めても切ないがウォルトによるちょっとした冗談が笑いに。

頑固なおじさんをやらせたらクリント・イーストウッドはトップ3に必ず入るくらいには似合っている。
ウォルトは頑固なんだけど周囲がそうさせているというか、関わる相手によっては友好的で温かいチャーミングな人になると思う。

ウォルトとタオの関係性の変化は勿論良いけどウォルトと神父との関係性の変化とやり取りがもの凄く好きだった。

クリント・イーストウッドの息子スコット・イーストウッドも出演。息子出させておいてそんな役なの面白い。

観れてよかった。



⚪以下ネタバレ



ウォルトがスーからバーベキューに誘われての流れが可愛かった。めちゃくちゃ春巻きやらご飯食べるじゃん。その後のシーンでモン族の贈り物や食べ物もしょうがなく受け取っちゃうのも良かった。

神父は最初はダメダメな若造かと思ったけど真面目というかしっかり人間らしさのある人だったのが好感。薄っぺらい生死についての語りがウォルトと関わることによって変わったのが好き。
ずっとウォルトと呼んで「コワルスキーと呼べ」って言われていたのに、スーの出来事で怒りを共有したからかコワルスキーと呼んだ時に「ウォルトと呼べ」になったの凄くほっこりした。

ウォルトの咳込みからもう病気で長くは無いこと、タオたち家族に絡むギャングはギャングと言ってもまだ子供なことそこから何となくこの展開は想像がつくのだけれど悲しい。

タオの姉のスーが痛々しい姿で家に戻った時の衝撃。ここまでするか。ウォルトの隠しきれない怒り。
タオ達を守るために行った暴力がそのまま彼らに返ってきたことにも戸惑い傷つく。

ウォルトの覚悟を散髪・髭剃り、スーツの仕立てでそれとなく匂わせるの好きな演出。

タオや神父は恐らくウォルトがギャングを殺すと理解していたと思うけれど、ウォルトは自分が殺されることでギャングが刑務所行きになることを考えていた。

思うにウォルトの懺悔は神父に話したことではなく閉じ込めたタオに伝えたことだと。朝鮮戦争で人を殺したこと。

⚪以下ストーリー(Wikipediaから引用)
フォードの自動車組立工を50年勤めあげたポーランド系米国人コワルスキーは、妻を亡くし(妻を思い出して「俺は嫌われ者だが、女房は世界で最高だった」という)、愛車グラン・トリノを誇りに、日本車が台頭して住民も今や東洋人の町となったデトロイトで隠居暮らしを続けていた。頑固さゆえに息子たちにも嫌われ、限られた友人と悪態をつき合う日々であり、亡き妻の頼った神父をも近づけようとしない。常に国旗を掲げた自宅のポーチでビールを缶のまま飲んで、飲み終えると片手で握り潰す。コワルスキーを意固地にしたのは朝鮮戦争での己の罪の記憶であった。

彼の家に、ギャングにそそのかされた隣家のモン族[注 2]の少年タオが愛車を狙って忍び込むが、コワルスキーの構えた銃の前に逃げ去る。なりゆきで、タオや姉スーをギャング達から救い、スーにホームパーティーへと招かれ、歓待してくれた彼ら家族の温かさを感じる。その後、タオに仕事を世話して一人前の男にさせることを頼まれる。仕事によって成長していくタオの姿を見て考え方が変わっていくコワルスキー。乗り気ではなかったが体調が良くなく病院に行き病が体を蝕んでいることを知る。一方、モン族のギャングが、タオにさらなる嫌がらせを加えた。顛末を聞いて激昂したコワルスキーはギャングに報復するが、その報復としてギャングはタオの家に銃弾を乱射し、スーを陵辱する。

復讐の念に燃えるタオを家に閉じ込め、この状況に決着をつけるべくコワルスキーはある作戦を胸に、ひとりでギャング達の住みかに向かう。コワルスキーはタバコをくわえて、銃を取り出すかのように上着のポケットに手を入れる。恐怖に駆られたギャングはコワルスキーを射殺するがポケットにあったのは第一騎兵師団のジッポーであった。タオが急いで現場に向かうと、シートをかぶせられたコワルスキーの死体があった。現場の警官に聞くとコワルスキーは武器は何も持たずに、一人、ギャングの家に向かっていったこと、そして、目撃証言がある事と、コワルスキーが丸腰だったことから、ギャング達には長期刑が見込まれることが分かる。

弁護士が朗読するコワルスキーの遺書には、タオの未来の為に、愛車グラン・トリノをタオに譲る、と記されていた。

コワルスキーの思い出と共に、湖岸の車線を走り去るタオ。彼の心には友人コワルスキーが住み続ける…。

⚪鑑賞
午後のロードショーで鑑賞。
鍋レモン

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